多子津山 1311m

往復8~10時間ー登山道なし

ブナオ峠から県道54号を下る
ブナオ峠から県道54号を下る

 2013年6月2日(富山県)

 2万5千分の1地形図「西赤尾」

 五箇山ICからブナオ峠に向かって車を走らせて、県道54号線の入り口に着くとゲートは開いている。今年は5月27日(火)に開いたそうだ。峠の駐車場には登山者や山菜採りの人達が沢山入り満車に近い状態だった。

 峠から先が通行止めになっている県道を下る人は、山菜採りの人と私だけの様だった。 

県道54は入り口から崩れていた
県道54は入り口から崩れていた
時々通行困難になる
時々通行困難になる

 県道はたぶん酷い状態だろうとは思っていたが、一応は車に自転車を積んできた。実際は想像通りの荒れた道で自転車の出番は無かった。

 頑張ったとしても不動の滝を過ぎた辺りでアウトだろうと思う。

不動の滝に流れ込む
不動の滝に流れ込む
崩れた道を通過して滝を振り返る
崩れた道を通過して滝を振り返る

 不動の滝の水量は多く、轟音が響いていた。 橋を渡り、滝を振り返る辺りで道は大きく崩れ、ひと一人がやっと通過出来る状態だった。

崩れた状態は続く
崩れた状態は続く
緑の橋で小矢部川を渡る
緑の橋で小矢部川を渡る

 2回目の沢(小矢部川)を渡るのは緑の橋で、林道は大きくヘアピンカーブを描いて沢沿いに続いている。標高は820m、駐車場から約30分で200m下っている。

取り付きの尾根に大岩
取り付きの尾根に大岩
踏み跡らしきもの
踏み跡らしきもの

 3回目の沢を渡った所の林道法面は、大きな岩がコンクリートで被覆されて特徴的な目印の様になっている。ここを曲がりきるまで取り付き地点は無いかなと探しながら進む。

 曲がりきった所が、大きな広い尾根の末端になっている。

 草の薄いところを覗くと踏み跡の様な、階段の様なものが有って、さらに奥に入り覗いて見るとピンクテープが下がっていたので、これはもしかしたら何かの道かなと勘違いしてしまった。

猛藪の尾根へ

凹地を進む
凹地を進む
椿の猛藪
椿の猛藪

 すぐに道らしきものは何処かへ消えたが、少しでも薄いところを辿って登ってみると尾根上は僅かに薄いようだった。椿の猛藪に掴まった所で普通は諦めて引き返すところだが、昨年の月ヶ原山を思い出すと上は少しでも歩き良いだろう。もう少し諦めずに行ってみようと思った。

標高880mの広い尾根
標高880mの広い尾根
標高1050mブナの尾根
標高1050mブナの尾根

 尾根は標高1000mを越えた所で少し細くなり顕著になる。籔も薄くなって歩き易く格段に楽になってきた。凹地には残雪が見え始めた。

標高1180m複雑な地形
標高1180m複雑な地形

 標高1180mの小ピークを過ぎ、地形がやや複雑になり、行動だけなら楽な右の沢方向へ行く選択肢も有ったが、帰りに迷う心配がある。時間や心に余裕が無いため、単純にひたすら高い所を選んで尾根を登る事にした。


標高1200m最後の登り
標高1200m最後の登り

 標高1200mから最後の登りにかかると尾根は美しい新緑のブナに覆われた。わたしの最も好きな風景で、この中を歩いている時間はフワフワと天国にいるような気分になる。


最後は残雪を辿る
最後は残雪を辿る

 大門山から多子津山に続く稜線に出ると、この山最後の猛ブッシュが立ち塞がる。

 これ迄の籔とは桁違いに酷く、完全に嫌気がさした。これを避けて雪渓を選んで山頂直下に回り込む様に移動する。後は、山頂に向かい、ひと筋残る雪の凹地を直登することにする。


リュウキンカとコバイケイソウ
リュウキンカとコバイケイソウ
カタクリが咲く
カタクリが咲く

 あと一息で頂上かと思う。雪が消えリュウキンカとコバイケイソウに覆われた。沢の源頭によくある風景だ。少し乾いた所にはカタクリの花が咲いている。

山頂付近にあるピンクテープ
山頂付近にあるピンクテープ
多子津山山頂
多子津山山頂

 ほぼ頂上だろうなと思う稜線にでた。多湖津山に三角点は無いので、山頂の確証はなかなか無い。ブナの木に巻かれたピンクテープが、その山頂の証かなと思うが、私が推測する山頂にはこれと言って何も無買った(写真右)。

 何処が山頂なのかはっきりせず、周囲の展望も全くきかない山頂だ。そんな山の何処が良いのかと問われそうだが、標高1200mから上のブナ林はまるで天国の様だった。この素晴らしい自然の美しさは、道のない登山の醍醐味だろう。

權ノ神岳・粟ヶ岳へ
權ノ神岳・粟ヶ岳へ
富山県の山
富山県の山
赤堂山へ
赤堂山へ

登山道のない山と三角点へ
登山道のない山と三角点へ