2011年10月9日(岐阜県)
寺地山1996.0m~北ノ俣岳2661.2mを登るルートが飛越トンネルの飛騨側入り口から登山道があるらしく、「けっこう日帰りで行ってる人多いよ」と教えてくれたのは、天蓋山登山口にある「夕顔の駅」の食堂のおばちゃんだった。
そうか、日帰りで行けるんだ。
寺地山は登っていないし、北ノ俣岳は折立から雲ノ平~三俣蓮華岳~黒部五郎岳経由でへ行った帰りに登ったことがあるけど、ガスの中を通過したに過ぎない。ぜひもう一度登ってみようと思っていた山だった。
前日は夜勤明け、夕方登山口に着いて暗くなる前に眠った。
朝5:40に登り始め、打保ルートとの合流点△1842m(仙人峠)付近には2時間で着いた。この辺の草地は霜が降り、ソルティードックの様になっている。秋の高山へ登っていくことを感じさせられる。
寺地山には3時間少々で着いた。そのまま先へ進むと、今まで周囲にあった森が消え、目の前が大きく開けていた。
鞍部に向かって下った後、北ノ俣岳に登り返す広大なルートが目に飛び込んできた。絶好の秋晴れの日に、北ノ俣岳まで行く計画を立てていて良かった。もし、寺地山で引き返すような時間に余裕のない日に来ていたら、さぞ後悔が残るだろうから。
左には、はっきりそれと判る薬師岳が見え、その陰からは剣岳が頭を出していた。正面の登りは避難小屋分岐付近から上が樹木のない世界になっている。
分岐までは50分くらいで着くが、鞍部に降りてから登り返しは木道になっていて歩きにくかった。
100mほど道から外れた小屋には今回は立ち寄らず先を急いだ。分岐を過ぎ水平な道になると池塘の点在する湿原の中を進むようになる。
振り向くと池塘は青い水玉模様で、奥の寺地山は低く見えてきた。木道は無くなり、徐々にチングルマの白い毛がなびく乾燥した草地になり、雨裂の道を過ぎると這い松に覆われるようになる。空気の薄さを少し感じるようになりゼイゼイいいながらも稜線上の世界を楽しみに登り続けた。
稜線に躍り出たところからは、左から薬師岳と北薬師岳の山塊が近くに見えてくる。その左、遠くに剣岳が頭を出している。
中央奥には、赤牛岳、その右に水晶岳が。少し手前の山並みは雲ノ平から祖父岳、鷲羽岳、三俣蓮華岳、黒部五郎岳と並んでいる。2009年夏に太郎山を起点に一周した時の山々が、くっきりと見渡せる展望だった。あの時、雨雲の中で下を向いて歩いていた部分が、欠けていた部分がこの日に完結したような気持になっていた。
山頂は稜線を南に100mほど行った所にあり、数人が休んでいる。山頂は広く、連休に縦走して来た人達も合流してにぎやかだった。ケルンの陰に風を避けて座って、見覚えのある山を目で追いながら、限られた山頂での時間を楽しむことができた。今度は、また季節を変えて春に行ってみようと思う。