月ヶ原山 1169.8m

往復9~11時間ー登山道なし

2012年6月5日(石川県)

2万5千分の1地形図「湯涌」「西赤尾」

刀利ダム
刀利ダム

 金沢郊外から刀利ダムへ向かい、順尾山登山口方面の分岐を右に見てさらに進むと道はダムの方へ降りて行く。対岸に渡った後、トンネルを抜けてブナオ峠に向かう。曲がりくねった道をダム湖に沿って走り、湖の南端で車一台分の細いトンネルに入った。

 小矢部川に沿って走り、支流を2回渡った所に最終民家と駐車スペースがある。

 簡易なゲートがあり通り抜けは出来ないとされている。直進すると正面は鎖の確りした通行止めだった。左の林道奥孫線にもう少し進んでみる事にする。

 私の車が進める限界に達し、少し戻って駐車する。折りたたみの自転車に切り替えて登山開始。

 山側(右)の倒木の根が邪魔で進めなかった所。

 ジムニーならまだ行けるかもしれない。

長瀞峡と表記された標識の先は崩れ方が酷い。


山側からの落石
山側からの落石
倒木が道を塞ぐ
倒木が道を塞ぐ
広い河原の奥に遠く大門山
広い河原の奥に遠く大門山

 折りたたみ自転車は我ながら良い案だと思った。軽快に走り始めたが、間もなく落石や枝が道全体に散乱していて避ける事も難しくなった。車から降ろして500m走った所でパンクしてしまった。結局、徒歩に戻す事になり落胆したが、この後再三現れた倒木が道を塞ぐ所で自転車を担いで乗り越えることをせずに済んだ。

林道脇にシャジンが咲いていた
林道脇にシャジンが咲いていた
太美山小学校下小屋分校跡地
太美山小学校下小屋分校跡地
下小屋橋、昭和32年竣工
下小屋橋、昭和32年竣工

月ヶ原峠の誤記が山名の由来

 月ヶ原山は五万図の作製時に命名した山名だそうで、それまで「月ヶ原」は現在の山頂と、北にある1129mの峰との間にある平坦地の名称であった。越中下小屋では月ヶ原峠と呼んでいたのを山名に誤記したまま今日に及んでいる。この峠は倉谷と下小屋両村の山中交通に古くから利用された杣道の要所であった。(新日本山岳誌より抜粋)

 南砺市観光協会のホームページに記載のあった「下古屋砦」「多古津」「月ヶ原」とは何処の事なんだろう。古い歴史のある道の謎解きをしてみたくて小学校跡地から下小屋橋辺りの藪に何度も突っ込んでみたが答えは見付からなかった。

藪に覆われた尾根の末端

尾根の末端から取り付く
尾根の末端から取り付く
尾根に凹状の地形
尾根に凹状の地形

 この尾根の末端から登った記録を目にした事がある。しかし、ここにも古い道らしきものは無かった。諦めかけた時、尾根に凹状の地形を見付けて、登ってみる。間もなく藪に消え歩けなくなったが、数メートル右側に踏み跡の様なものを見付けてさらに登ってみた。


標高840m 薄い藪
標高840m 薄い藪

 標高600mの尾根の取付きから登り始めて、獣道の様な踏み跡が多かった。写真は標高840mで、所々に藪の薄いところも在って、これが杣道の名残なのかと思われた。

 登りの傾斜も適当で、標高865m点までは比較的順調に登って行けた。

平坦地は笹が多い
平坦地は笹が多い
標高950m激しい藪が続く
標高950m激しい藪が続く

 標高865m点から標高990mまでは笹を中心にした激しい藪が続いた。道らしきものは全く判らないが、笹を折った痕があって最近人が入っている証だと思った。


ひと時だけ快適なブナ林

快適なブナ林に
快適なブナ林に
林床にはブナの実生が
林床にはブナの実生が

 標高990mで再び適度な傾斜に戻ると風景は一変して爽やかなブナ林に変わった。林床は落ち葉とブナの実生に覆われている。頂上までこの風景が続いて欲しかった。


徐々に笹が増え始める
徐々に笹が増え始める
再び猛烈な藪
再び猛烈な藪

 山頂の南側にある標高1120mピークに近づくと再び猛烈な笹藪に覆われた。このピークに着いて北へ向かう稜線に乗る所では進行方向を確かめるのに少々神経を使った。要所にはピンクテープを連続して付けて、帰路の尾根の目印とした。


苦労して辿り着いた月ヶ原山

三等三角点月ヶ原山
三等三角点月ヶ原山

 山頂に近づき、そろそろ三角点に気を付けなくてはと思っていた矢先、3平米ほど草木が刈り払われていて、中心に三等三角点の石標が頭を出していた。山頂着はタイムリミットに近い12:50だったので、探す時間が必要なく有難かった。樹木に囲まれているので、周囲の山は全く見えなかった。でも、春の時期を逃して今年はもう登れないものと諦めかけていたので、山頂まで辿り着けた事に大満足だった。腰を下ろし10分程疲れを癒やしている間、下山の心配をはじめていた。

 

樹間から高三郎山が見えた
樹間から高三郎山が見えた

 帰路の薮漕ぎは体力的には楽だが、方向を誤る心配は増す。国境稜線を南下している所で高三郎山らしきピークが見えたのでカメラに納めた。

 肉眼では見越山に続く稜線も綺麗に見えていて、この日の山中は殆どが薮の中だっただけに、とっても胸のすく一瞬だった。 

下山を終えて林道を戻る
下山を終えて林道を戻る

 所々で方向を誤りかけながら下山したので、ピンクテープは全て回収できなかったかもしれない。無事に薮との戦いを終えて沢沿いの林道に降り、徒歩で刀利ダム方面の駐車地点に戻る。

 車に近くなって、役に立たなかった折りたたみ自転車を回収して帰路についた。

左奥に雪渓の残る大門山
左奥に雪渓の残る大門山

 刀利ダムを離れる所では、遠くに国境稜線が見えていた。左から雪渓の残る「大門山」、頭をちょこっと出した「多子津山」、左に尾根が延びる「月ヶ原山」、右端に「赤堂山」がゴツゴツした感じに見えている。

 先ほどまで居た山頂は中央やや右の、なだらかな山がそれ(月ヶ原山)になる。

水葉山へ
水葉山へ
石川県の山へ
石川県の山へ
順尾山・大倉山
順尾山・大倉山

登山道のない山と三角点へ
登山道のない山と三角点へ