2009年8月9日(富山県)
北アルプスの奥懐、黒部源流に位置する雲ノ平と高天原は、秘境とも雲上の楽園とも言われている。以前から行ってみたかった山域だった。今回は折立から三俣蓮華岳と黒部五郎岳を経由して、一周するコースを選択した。日程は4泊目も一応準備しておいた。スタート地点の折立には有峰湖のゲートで料金を払って、青少年の家方向に向かった。
登山道入り口のかなり手前から、路肩に駐車する登山者が身支度やパッキングを始めている。高天原か雲ノ平でゆっくりするつもりで、3~4泊の最小限の荷とカメラを準備しスタートする。500mほど行くと登山道入り口に着いた。
登山口周辺は大いに賑わい、マイカーだけでなくバスでも多くの登山者が訪れる。バスの方は遠くから鉄道なども乗り継いでやって来たか、どこかへ縦走するつもりなのだろう。こういうスタイルの山行もかなり人気のようだ。
登山口からは樹林帯の急登が続き、あっという間に1870mの三角点に至る。
三角点から先の標高差460mは木道や石畳の登山道を登る広々とした尾根歩きになった。
尾根を登りきると太郎兵衛小屋の前にでる。小屋を背にするとちょうど薬師岳の正面に立つ感じになる。
昼過ぎなのでベンチで食事をして宿泊予定の薬師沢小屋に向かう。
薬師沢山荘に着いて夕食までの間、沢音を聞いてくつろぐ。
朝6時、薬師沢山荘を出発する。赤い吊り橋を渡った所が尾根を行く登山道だ。高天原に向かうなら、橋を渡って左の沢沿いを行く大東新道だが、沢の水量が多く断念した。
尾根道はやや急で石がゴロゴロして滑りやすかった。
雲ノ平周辺に着くとすっかり雨になった。水滴を集めたシャクナゲの花とナナカマドの葉が綺麗だった。
小さな花たちも大きな水滴をぶら下げていた。
ずぶ濡れになって山小屋に入り、着替えた後夕食となった。外は徐々に晴れ間が広がって、皆が爽やかな空気と景色を楽しんでいた。
朝5時30分、山荘を出る。歩き始めると三俣蓮華岳の裾野の右奥に朝日を浴びた笠ヶ岳が見えているようだ。
祖父岳頂上を経て岩苔乗越へ向かうと、ワリモ岳の頂上が見えてきた。
岩苔乗越に着くと三俣蓮華岳が見えてきた。
ワリモ岳は山頂の西側をトラバースする登山道から、黄色の標識の所で道を外れて一気に岩場を登って往復する。
鷲羽池を下に見ながら三俣山荘側へ降りていく。
三俣山荘側に向かって、約400mの標高差をどんどん下っていく。
三俣蓮華岳山頂は霧の中だった。
黒部五郎岳のカール壁は白い節理状の岩が並び、傾斜が緩む所から高山植物の絨毯が広がる。扇状の雪渓から集まる清流がキラキラと流れている。標高2600mに広がる登山者だけが知る楽園だろう。
初めて此処を訪れた私は、あまりの絶景に心を奪われ、今夜もう一泊するつもりで先を急ぐことを止めにした。リュックを下ろしてから登り始めるまでに1時間30分を要してしまった。