2004年5月1日~3日(石川県)2万5千分の1地形図「市原・中宮温泉」
北海道から来てくれたYさんと合流し一里野温泉に着くと、少し手前から斜め左方向に細い道が分かれ、これを下って中宮発電所手前にある20台分の駐車スペースに車を駐める。
山中1~2泊の身支度を調えて歩き始める。橋を渡り水力発電所の太い配管脇の階段を登って行く。下見に訪れた時には山毛欅尾山へ向かう夏道が発見できず苦労した所だ。
重い荷物と階段登りで一汗かいたら貯水池の前にでる。反対側にも階段があり中宮温泉から林道でつながっている。貯水池の上流側へ進むと末端から山毛欅山への登山道が始まり、樹上に猿の声が聞こえてくる。
尾根の等高線は均一な幅で、コンスタントに標高を稼げるので重い荷には好都合だった。標高1000mに近づくとルート上に残雪が現れるようになった。
山毛欅尾山に近づくと雪が締まって歩き易くなってきた。
西から頂上へ向かう尾根上忠実に辿り登って行く。山頂の南西側の急斜面には近寄らない様、北側に回り込む様にルートをとる。
大荷物で汗は流れるが、3時間程で山頂に着いた。山毛欅尾山の広い山頂は団体さんも含め20人以上が休憩する大賑わいだった。
山頂平坦部の東側の外れから冬瓜山に続く尾根を探す。
尾根は北東に向かい、標高を下げていく。標高1200mを切る所で雪が消えてブッシュが出ているのではないかと心配だった。
やはり最低標高では籔が荷物に引っ掛かり、なかなか進めず苛立たしい思いをした。
最低コルでは雪が少なく苦労させられたが、その後も長い尾根のアップダウンには疲れが蓄積してきて、冬瓜山が見え始める所で休憩をとった。
ここには登らず、直下の冬瓜平に向かいテントを張ることにする。
冬瓜平の広い宿泊最適地にはカラフルなテントの花が咲いていた。15時30分に着いた後、きれいな雪を集めてはせっせと溶かして夕食の準備を始めた。
お湯割りのウィスキーをちびちび口にしながら食事を作り、明日の行動予定を相談する。
天気は最高に晴れていたので、朝はかなり冷えこんでいた。
テント場からシリタカ山の肩に上がる直前は、硬い雪の長いトラバースがあり少々緊張させられた。
登りきった所からは、突然素晴らしい展望が広がるが、どうやって頂上へ行くかはよく考えないと判らなかった。
考え過ぎたた結果少々時間が掛かっていると、Yさんがテントに戻ってしまった。
私はひとりで試登して来るよと言って別れ、右手前の尾根の左側の沢に稜線に上がる程よい傾斜のルートを見出した。
稜線に上がって登って来た方向を振り返ると、シリタカ山と冬瓜山はずいぶん下の方に見えてきた。右奥は加賀の山、左奥には白山がまだまだ白く光っている。
はい松のブッシュを越えると岐阜県からのルートと合流した事が判った。振り返ると五箇山から続く仙人窟岳の尾根が見えている。
かなりの悪場の様で、目の前の最低部へ降りる急斜面が嫌だなと思う。逃げ場も無さそうだ。下見に出かけて地形図上でも検討した時に感じたが、一番のネックは目前の急斜面だと思われた。
あちらを選択しなくて良かったと思う。
稜線に出てから3つ目のピークが笈ヶ岳山頂になる。写真左は2つ目のピークで、これを越えて山頂へ向かう。登り返すと山頂がはっきり見えてきた。周囲をはい松に覆われた平坦な一角で左側が石川県で急な崖になっている。その山頂に数名の登山者が立っているように見える。(写真右)
山頂に着くと、奥には大きな山が白く光っていた。一瞬驚いたが当然それは白山しかない。陽射しの気持ち良い山頂で7~8名が昼食をとって寛いでいた。
私は、急いでテントに戻ってYさんに「登ってみないか」と説得してみるつもりだ。今日、昼過ぎにもう一度登って、下山は明日にしようと思う。食料もウィスキーもまだたっぷり有るから。
二人とも登頂しました。