2012年7月24日(長野県)
長野道豊科ICから国営アルプスあづみの公園方面へ向かい、須佐渡から烏川林道に入り三股登山口へ向かう。
舗装された道を走り、整備された広い駐車場に着いた。その奥には、蝶ヶ岳から常念岳に続く稜線が座している。早くも想望に胸が膨らむ。
私が持っている常念岳・蝶ヶ岳に関するガイドブックはどれを見ても三股登山口と一の沢登山口を結ぶルートが紹介されていて、山小屋から電話してタクシーを予約するというものばかりだった。何度か登ろうと考えたが、タクシーに頼る縦走には違和感の感じ中止にしてきた。
今日は蝶ヶ岳に登り、ヒュッテに泊まる。2日目、縦走路を歩いて常念岳に登り、帰りは前常念岳を経由して此処に降りてくる予定だ。今回のルートなら、山中1泊2日で出発地点に戻ることが出来て、時間も自由度があって私好みだった。そう考えると急に登りたくなって休暇をもらってやって来た。
登山口までの約1kmは一般車通行止めになっていて、ウォーミングアップには丁度良い距離だ。5時15分ゲートを通過し登山開始。15分歩いた所に許可車両が数台停めてあった。登山届けを書いてから再スタートする。
50m行くと登山道は橋を渡った後で分岐して、右の道は前常念岳から降りてくる予定の道。直進は沢沿いの道で、蝶ヶ岳に続く新道だ。
蝶ヶ岳新道は前半歩き易い道が続き、最初の水場の上が少し急登だった他は順調だった。標準時間内に休憩をとりながら登れるので楽なルートだと思った。
2時間ほど登った所では平坦地が続き、泥濘に足をとられ閉口させられるが、最後の水場まで概ねなだらかな登りだった。
最後の水場を越えると、一気に傾斜が増しぐんぐん標高を稼いだ。丸太を組み合わせた梯子が掛かっている所が多く、滑りやすいので慎重に通過する。
標高2500mの最終ベンチを過ぎると樹木が低くなり始め、大滝山分岐では森林限界を超えた稜線となる。
10時45分、蝶ヶ岳山頂に着いた。登りの所要時間は5時間30分。
槍から穂高の山並みが眼前に広がるのがこの山のセールスポイントだが、この日は少し残念な雲が横一直線にかかり山頂部分を隠していた。
晴れそうでもあるが、雲は次々と湧いて山頂だけを隠し続けていた。
缶ビールを片手に長時間待ち続けていると遠くに黒い動物を発見してしまった。登山者の大方の意見は熊ではないかという事だったが、小さな画像なので、はっきりしなかった。
暫くはヒュッテで休みながら窓を見つめていた。
夕食後うとうとしていたら、急に外が騒がしくなり中にいた客は全員外へ走り出した。私もカメラを持って外へと急いだ。
槍・穂高のパノラマが夕暮れに。右下のフルスクリーンボタンで拡大、Escキーで戻ります。
7月25日(2日目)の朝。しっかり着込み、カメラだけ持って日の出を待った。
安曇野平野側に昇る朝焼けが美しい、最高のスタートだった。
朝日が雲海に映って綺麗だった。左から御嶽山、乗鞍岳、右の三角は焼岳が頭を出している。
ヒュッテの朝食は5:30だったので、6:00から常念岳への縦走路を歩き始める。
右側の台形状の山塊が今日の目的地、常念岳・前常念岳で右側が下山路になる。
常念岳は大きなピラミット状で、迫力満点だ。
ヒュッテを6時に出て、35分で横尾との分岐に着いた。向かいに見えている槍・穂高の縦走は15年前の事だった。その時、蝶ヶ岳・常念岳が間近に見えていて写真も撮った。だが当時北海道に住んでいて、北アルプスは遠い世界と思っていたので、まさか此処へ来るとは思っていなかった。
1時間ほどで蝶槍に着いてパノラマ写真を撮影した。ここは尖っていてなかなか姿の良いピークだった。縦走路にある大きなピークは3つあり、最初のが此処で標高は2660m位。この後200m位標高を下げるが、アップダウンは更に続く。
蝶槍を振り返ると尖った形ですぐにそれと判る。左奥に今朝出発した蝶ヶ岳も見えている。
最後のピークを越えてコルに向かう。降りきったら標高差400mを登り返すのみだ。
岩のゴロゴロした標高差400mの登りはけっこうきつい。黄スミレの写真を撮ったりして小休止をしながら登ってきたが、後半は少々バテた。
この日は午後から雷雨の予報になっていた。写真を撮りながらスローペースで来たがここで10時30なので、雨には遭わずに稜線を通過、樹林帯まで下山できそうだ。
2857mの山頂への登りは少し空気も薄いのだろうか、足が重かった。
でも、この時刻に登りきっていれば安心だ。無事に2座登れて、運良く天気はまずまず、槍・穂高を充分に眺めながら登れた事で大満足でした。
前常念岳へ下山し始めたところから奥に見えているのは横通岳で、コルに常念小屋がちらりと見えている。小屋から右側の沢沿いに下るのが一の沢ルートだ。
遠くに見えている大天井~燕岳のルートも何れ歩いてみたいと思う。
前常念岳の三角点を過ぎ、岩屋も通過すると岩のゴロゴロした所は終了し、樹林帯の道になる。2日間の山旅は爽やかな世界を満喫していたが、下界は現実の世界でひどく蒸し暑かった。